[映画・ビデオ・ドラマの部屋一覧に戻る] お名前:のぶれば
コメントの種類:邦画 「雨あがる」を観ました。 これはなかなか良いです。気に入りました。壮大なスケールでも無いし、すごいアクションやスペクタルシーンもありませんが良い。 正直なところ黒澤作品に関わった人達の二世が集まって、黒澤作品のまねっこをして自己満足に終わる映画じゃないかなあ、なんて思ってたのですが……確かに、真似ているところは多いのですが、表面だけを真似てるんじゃないから、良い演出となって仕上がってるように思います。演技も、「何それ?」なんて言いたくなるところも幾つかあるのですが、それを許せるほどの演技が多々あるように思いました。 演出が結構細かい!黒澤監督張りの、細かい指導があったんじゃないかなあ?さもなきゃ、黒澤流を理解している人が集まった映画だったのでしょう。黒澤監督らしい派手さは無くても、しんみり、でもじわりとくる黒澤監督らしさはあったように思います。こんな風に書くと、小泉監督に怒られそうな気もしますが… 決して格好良くない格好良さとでも言いましょうか、演技しながら生きてる人間を上手く演じてるとでも言いましょうか…出演者同士、あんなに息が合ってるシーンは珍しいのではないかなあ。 正直なところで言えば、キャスティングには当初、不満があったんだけど、映画が終わってみて納得したし…上手く演じたというより、結果的にはまってたという感じでした。 で、また、ラストが、らしい。ここで終わって欲しいなあ、と思うところで終わってくれたし。 結論的には、黒澤監督のまねをした映画というより、黒澤監督が息を吹き込んだ映画という感じがしました。 もっとも、乗り移ったとまでは言えないとは思うのですが… それにしても、本当に優しくなれる映画だったなあ…最近は暗い邦画が多い気がするだけに、この映画の雰囲気に続く映画が出てきそうな気がします。 私だけかも知れないけれど「死せる黒澤、日本映画界を揺さぶる」予感がしたので候。 |
少々、クロサワ監督の言葉を引用させていただきます。
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黒澤明が最後まで映面化を目指した企画が『雨あがる』である。
本作は1999年ヴェネチア国際映画祭で1周忌を追悼し特別上映された。
会場を埋めつくした観客は上映が終了するとともに総立ちになり大喝采を送り本作を讃えた。
黒澤明白身の覚書には次のことが記されている。
戦国時代が終わり、その反動で豪奢な元禄時代があり、その奢侈に飽きて質実尚武を尊ぶ享保の時代が舞台である。夫婦の話である。
そして、見終わって晴れ晴れとした気持ちになること。
妻は夫に対して、仕官できなくても良い、人を押しのけず真実な人々に希望を与える夫が立派だと考えている。・・・・・・
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と、あります。
観終わった後の感想なのですが、、
この映画は、やはり良い意味で、ハリウッドではなく、
日本の映画だと言うことなんでしょう。
のぶればさんが、他で言われてますが、
>「何をしたかではなく、何のためにしたか」
そこら辺が、きっと日本人の奥ゆかしい感受性なんではないか と、、思いました。
ぼくにとって、「スカッと、ノー天気に晴れ晴れ」という印象ではなかったのですが、
雲が残って、含みを持たせた、
湿度の高い、「日本晴れ」・・・・みたいな印象でした。
三船さんのお殿様役には、スカっとしました。
勢いや豪快さがお殿様らしくて見ていて気持ちよかった。
>「何をしたかではなく、何のためにしたか」
黒澤監督の映画は「生きる」しか見たことがないのですが、このセリフの言葉ってやっぱり二つの映画に共通して
黒澤監督を感じるところあります。
>この映画は、やはり良い意味で、ハリウッドではなく、日本の映画だと…
です。ハリウッドの追っかけ映画では無く、日本独自の路線の映画ですよね。
>そこら辺が、きっと日本人の奥ゆかしい感受性…
そうそう!アメリカじゃあ、絶対、サクセスストーリー、アメリカンドリームにされる展開ですから。
日本の文化は、結果よりも過程に目をやれる文化なのかもしれません。
>黒澤監督の映画は「生きる」しか見たことがないのですが、
くりまが映画伝の他のところにも書きましたが、是非に、是非に黒澤作品を見てみましょう!
のぶればのベスト3は、「七人の侍」「生きる」「天国と地獄」です。
もちろん他のも良いです。スターウォーズファンなら、「隠し砦の三悪人」は小気味良く観れるのではないでしょうか?展開や立ち回りが、いかに模倣されたかなんかもわかります。
おっと、いかんいかん、黒澤作品を語り出すとつい熱くなってしまうのぶればなので候。
こちら、随分ご無沙汰していました。
そーですよ、こういう映画が出来る国なのです、この国。
いーじゃないですか。
ドッカン、ドッカン爆破しなきゃ絵にならないハリウッドには、真似できません。
役者も良かった・・・・・・
そのセリフ、いーですねー 一生忘れないシーンの一つだと思います。
>そーですよ、こういう映画が出来る国なのです、この国。
そうなのです、サラさん。なのに、ここに気付いてくれる人(特に監督)が少ないんですよね…
こういう路線、邦画界自体にもっと大切にして欲しいと思うて候。
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