学生の頃お世話になった方から花瓶が届いた。
奥深いえんじ色の美しい花瓶が届いた。
うれしくて部屋の中をグルグルと見まわすが、
この部屋の殺伐・殺風景には、こんな花瓶がとてもにあわないと気づく…
急に、あのころが懐かしくなった…
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『すいません、また留年決定しちゃいました。もう一年ここに下宿します。』
「なんだ、また教授とけんかしたの?しょうがないですねぇ」
『……奴は、人間のクズです。』
「授業出席しなかったら、レポート受け取ってくれないでしょう。先生だって人間なんだから、感
情ってモノがおありでしょうから…
自我男さん、もう子供じゃないんだから、そのへんもっとうまくやらくちゃ…」
『……奴は、悪いやつです。』
「…まあまあまあ、でもまだ昼間なんだし、そんなに酔ってちゃダメですよ。
今日ぐらい反省しなさい。ハイ、今年もよろしく。
はぁ…、でもアンタみたいに純粋すぎる人は、社会にでても苦労するでしょうねぇ…」
『今ほどの苦労はしない、と思いま…す、ヒック…』
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結果的に、学生はとてつもなく甘かった…。
しかし、今の私にもあの頃のあなたのような理解者がいてくれます。
いつかまた懐かしがれるのであります。
しょせん自分はお幸せな『おぼっちゃん』であるようです。
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